近年、20～30代の女性の間でも「抜け毛・薄毛」の悩みが急増しています。
なかでも「頭皮がベタつきやすい」「夕方になるとすぐに髪がぺたんとする」といった脂性頭皮（オイリーな頭皮）の方に多いことが分かっています。
単なる皮脂の出過ぎではなく、頭皮内部の脂質バランスや微生物環境の乱れが脱毛と関係しているという研究結果が報告されました。
この記事では、実際の患者様からよく寄せられる質問をもとに、最新の知見を分かりやすく解説します。
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女性の脱毛が脂性頭皮で悪化しやすい理由とは？
Q1. なぜ女性の脱毛は脂性頭皮で多いのですか？
研究によると、皮脂分泌量が多い女性ほど毛髪密度が低く、抜け毛が増える傾向にあることが示されました。
皮脂は本来、頭皮を保護する役割を持ちますが、過剰になると毛包の環境を圧迫し、炎症を引き起こす可能性があります。
実際の臨床現場でも、脂性頭皮の方は「かゆみ」「皮脂塊」「フケの増加」などの症状を訴えることが多く、これらが毛髪成長サイクルの乱れにつながります。
Q2. 頭皮の脂質バランスが重要な理由とは？
頭皮には数百種類以上の脂質成分が存在しますが、その中でもセラミド（Ceramide）・トリグリセリド（TG）・ジグリセリド（DG）が特に関与していることが分かりました。
セラミドは皮膚バリアを守る重要な成分ですが、過剰になると細胞死や炎症反応を誘発します。
TGやDGのバランスが崩れると、酸化ストレスや炎症性サイトカインが増加し、毛根環境を悪化させることが知られています。
つまり、「良い脂質も過ぎれば毒になる」――これが脱毛メカニズムにも当てはまるのです。
Q3. 頭皮の微生物（マイクロバイオーム）はどんな役割をしていますか？
頭皮には目に見えない多くの常在菌が存在し、健康な状態では**ニキビ菌（Cutibacterium）がバランスを保っています。
しかし、脂性脱毛タイプの頭皮ではこの菌が減少し、代わりに緑膿菌（Pseudomonas aeruginosa）が増加していました。
さらに興味深いのは、Gilliamella（ギリアメラ）という本来ハチの腸内に見られる細菌が、脂性・脱毛グループでのみ検出された点です。
その役割はまだ研究途上ですが、頭皮炎症との関連が疑われています。
Q4. この研究結果は治療にどう活かされるのですか？
これまで脱毛はホルモンや遺伝要因が中心と考えられてきましたが、
近年は「皮脂と微生物のバランス」が新しい治療の鍵として注目されています。
脂性頭皮タイプの女性では、以下のようなアプローチが効果的です。
- 適切なシャンプーによる頭皮洗浄コントロール
- 抗酸化・抗炎症治療（例：抗炎症注射・LEDレーザー）
- 頭皮マイクロバイオームのバランス改善（善玉菌維持、頭皮環境調整）
将来的には、セラミドや脂質バランスを調整する外用剤や、頭皮の「良い菌」を守る新しい治療法が開発される可能性もあります。
Q5. 日常生活でできる対策は？
① 洗浄習慣の見直し
1日1回、頭皮状態に合った低刺激・弱酸性シャンプーを使用しましょう。
② 炎症の予防
強いアルコール成分やスクラブ入り製品は、頭皮のバリアを壊す原因になります。
③ 専門クリニックでの診断
自己ケアで改善しない場合、毛包状態や脂質バランスを測定する検査が有効です。
④ オーダーメイド治療の併用
必要に応じて抗炎症注射、レーザー治療、栄養バランス療法を組み合わせることで、より高い改善効果が期待できます。
まとめ
脂性頭皮による女性の脱毛は、単なる「皮脂が多いから抜ける」という問題ではなく、脂質の質と微生物のバランスが密接に関わっていることが分かってきました。
頭皮の環境を整えることこそが、健康な髪を守る第一歩です。
「最近、髪のボリュームが減った」「頭皮がベタつく」などのサインを感じたら、早めの頭皮チェックと専門的なケアをおすすめします。
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